生前贈与と相続税
皆様、銀座法律事務所所属の弁護士梅林です。
今年は、事務所の周りでもインフルエンザにかかる方がおり、インフルエンザの流行を実感しております。
皆様、体調にはお気を付けください。
さて、今回は、生前贈与と相続税について書きたいと思います。
相続税法では、暦年贈与の生前贈与は以下のように取り扱われます。
相続又は遺贈により財産を取得した者が、その相続の開始前7年以内にその相続に係る被相続人から贈与により財産を取得した場合は、その者について、その贈与により取得した財産の価格(その財産のうち相続開始前3年以内に贈与により取得した財産以外の財産については、その財産の価格の合計額から100万円を控除した残額)を相続税の課税価格に加算した価格を相続税の課税価格とみなして算出した金額をもって、その納付すべき相続税額とされます(相続税法19条)。
従って、相続開始前7年以内に財産を贈与した場合は、その贈与財産は相続財産に組み込まれてしまうため、結果的に遺産を減らすことにつながらず手間だけが増えることになります。
もっとも、以下のような場合には、贈与後7年以内に相続が開始すると想定されたとしても、贈与を実行することが考えられます。
実際の実行に当たっては、贈与した際の贈与税、贈与しなかったとして遺産が残っていると仮定した場合の相続税の金額を比較検討して決める必要があります。
① 短期間での値上がり等が想定されるような財産がある場合
上記のとおり、相続開始前7年以内に財産を贈与した場合は、その贈与財産は相続財産
に組み込まれてしまいます。
しかしながら、加算される評価額は贈与の時の価格とされていますので、短期間であっ
ても相続時には値上がりが想定されるような財産である場合は、値上がり前に贈与するこ
とも考えられます。
② 対象財産が収益物件である場合
対象財産が賃貸不動産など収益物件である場合は、早期の財産移転により、被相続人に
賃料収入等の金融資産が蓄積されることを防ぎ、贈与を受ける相続人に賃料収入等の金融
資産が蓄積されるようにすることも想定されます。
また、相続開始前7年以内の贈与であれば、納税した贈与税は相続税額から控除される
ので、税負担が軽くなることが考えられます。
さらには、収益物件の移転に伴う、賃料収入等の金融資産の蓄積により、納税資金の準
備となることも考えられます。
生前贈与は、贈与する資産によっては、その後の相続税等の対策になり得ますので、是非、相続税専門の税理士に相談することがよろしいのではないかと思います。


