相続放棄後の不動産の管理義務
弁護士法人吉祥寺法律事務所の弁護士梅林です。
東京は、最高気温が30度越えの日々が続きだしており、あともう少しで梅雨明けになるのではないかという時期になってきました。
連日の熱帯夜で、もうクーラーを入れないと寝られない季節がやってきましたので、皆様、体調には十分にお気を付けください。
今回は、相続放棄後の不動産の管理義務について述べたいと思います。
実家が田舎にあり、被相続人名義の不動産があるが、相続放棄後、その不動産の管理はどうするのかというご相談が、相続放棄のご相談で少なからず聞かれることがあります。
従前の民法940条1項では、相続放棄によって次の相続人となった者が相続財産の管理を始めることができるまで、自己の財産と同一の注意をもって、管理を継続しなければならないとされていました。
しかしながら、令和3年の民法改正により、相続放棄をした者が、不動産等の相続財産を相続放棄した時点で現に占有している場合は、次の相続人又は相続財産清算人に引き渡すまで、財産を保存する義務があり、また、相続放棄をした者が現に財産を占有していなかった場合には、管理義務を負わないと改正され、管理義務を負う場合が限定されました。
そのため、相続放棄をした者が現に不動産を占有している場合(例えば、被相続人と実家不動産で同居していた者が、相続放棄後もそのまま実家不動産に居住している場合)には、相続放棄によって新たに相続人となった者や、自分以外の相続人に対して、相続放棄をしたことを伝え、不動産の管理を引き継ぐまでは、引き続きその不動産について管理を継続する義務を負います。
他方で、既に実家不動産から離れ、別の場所で暮らしている相続人は、相続放棄時に、実家不動産に居住するなど、現に当該不動産を占有していなければ、改正民法により、実家不動産の管理責任を負わないことになります。
更には、相続放棄によって他に相続人が存在しない状況になった場合には、相続財産清算人の選任が必要となり、同人に引き継ぐまでは管理の責任を負うことになります。
上記のとおり、改正民法の下では、相続放棄をする方は、できるだけその相続財産を現に占有しないようにすることが重要ではないかと思います。


